40代でFIREするにはいくら必要?生活費20万・25万・30万・35万円でシミュレーション

FIRE

「FIREには1億円必要」と聞くと、自分には遠い話に感じるかもしれない。

しかし、必要資産は一律ではない。毎月いくら使うか、退職後も収入を得るか、どの程度の取り崩しを想定するかで大きく変わる。

私は40代の会社員として、50歳前後のFIREを目指している。投資歴は20年以上で、FP2級を取得している。タイやベトナムへの旅行も好きで、FIRE後も旅を楽しめる暮らしを考えている。

そのため、必要資産を考えるときには、生活を維持できる金額と、旅行などを楽しめる金額を分けて確認したい。

この記事では、生活費別の必要資産に加え、「毎月1万円の支出を残すためには資産がいくら必要か」「資産8,000万円ならどのような予算を組めるか」まで計算する。

なお、私自身はまだFIREを達成していない。以下は実際の退職生活の記録ではなく、将来の判断に使うための試算である。

結論:生活費だけなら6,000万〜1億4,000万円。ただし追加費用を確認する

生活費を月20万〜35万円、初年度の取り崩し率を3〜4%とすると、必要資産の単純計算は6,000万〜1億4,000万円となる。

ただし、この金額は生活費だけを取り崩す場合の目安である。税金・社会保険料や旅行代が生活費に含まれていなければ、追加する必要がある。

私が重視したいのは、目標額を一つ決める前に、「その資産で何にいくら使えるか」を確認することだ。

シミュレーションの前提

項目前提
月の生活費20万・25万・30万・35万円の比較用モデル
生活費の範囲家賃・食費・光熱費・通信費・日常の趣味など。税金・社会保険料と別枠の旅行費は含めない
初年度取り崩し率4%・3.5%・3%
資産生活費の取り崩しに使える金融資産。自宅など換金しない資産は含めない
年金最初の必要資産表では反映しない
計算方法年間の資産取り崩し必要額÷初年度取り崩し率
表示万円単位、原則として四捨五入

これは一定の取り崩し率から逆算する比較であり、相場の値動きを使った資産推移や成功確率のシミュレーションではない。3%や3.5%なら必ず資産が持つという意味でもない。

表の金額は計算時点の購買力を基準としている。退職までに物価が上がれば、退職時の生活費と目標資産を見直す必要がある。

4%は「毎年4%の利益が得られる」という意味ではない

一般的な4%ルールは、退職時の資産の4%を初年度に取り崩し、その後は取り崩し額を物価に合わせて調整する考え方である。運用利回りが毎年4%で安定することを意味しない。

Charles Schwabの解説でも、主に30年の退職期間を想定した目安として説明されている。40歳から90歳なら50年、49歳から90歳でも41年ある。40代で退職する計画では、運用期間の長さも考える必要がある。

参考:Charles Schwab「4%ルールと取り崩しの考え方」〈英語〉

生活費20万・25万・30万・35万円の必要資産を比較

月の生活費年間生活費4%で計算3.5%で計算3%で計算
20万円240万円6,000万円約6,857万円8,000万円
25万円300万円7,500万円約8,571万円1億円
30万円360万円9,000万円約1億286万円1億2,000万円
35万円420万円1億500万円1億2,000万円1億4,000万円

例えば月25万円で暮らす場合、4%なら7,500万円、3.5%なら約8,571万円となる。同じ生活費でも、取り崩し率によって1,000万円以上の差が出る。

一方、月35万円から月20万円へ支出を落とせば、必要資産は大きく下がる。しかし、その生活を長く続けられるかは別の問題である。

私は、FIREのためだけに楽しみを削るのではなく、残したい支出を決めたうえで目標資産を考えたい。

税金・社会保険を加えると、必要資産はどう変わるか

生活費のほかに年間24.5万円の税金・社会保険料を確保するモデルを置き、3.5%で計算する。

この24.5万円は、FIRE後の生活費はいくら必要?税金・社会保険まで含めて計算と同じ比較用モデルである。50歳・独身・給与収入なしで、退職前の所得の影響がなくなり、NISAや預貯金を中心に取り崩してほかに課税所得がほとんどない平常年を想定し、所得税・住民税0円、国民健康保険約3万円、国民年金約21.5万円を合計している。国保約3万円は全国一律の金額ではなく、自治体ごとの個別計算をしていないモデル値である。退職直後の負担や売却益への税金などで不足する場合は、その差額を追加する。

月の生活費年間生活費+24.5万円3.5%での必要資産
20万円264.5万円約7,557万円
25万円324.5万円約9,271万円
30万円384.5万円約1億986万円
35万円444.5万円約1億2,700万円

年間24.5万円を加えると、3.5%計算では必要資産は700万円増える。ただし、これは同じ年間支出が続くと仮定した比較である。国民年金保険料の支払いは原則60歳までのため、24.5万円が生涯続くわけではない。長期の退職判断では、60歳以降の保険料負担の変化や65歳以降の年金収入を年次計算に反映したい。

自分の家計ですでに税金や社会保険料を生活費に含めている場合は、二重に加算しないことも大切だ。

また、課税口座の資産売却では、売却額の全額をそのまま生活費に使えるとは限らない。NISAでは運用益が非課税になるが、口座の内訳や含み益によって手元に残る金額は異なる。

参考:金融庁「NISA特設ウェブサイト」

独自計算①:月1万円の支出を残すために、資産はいくら必要か

必要資産を生活に引き寄せるには、月1万円単位で考えると分かりやすい。

月1万円は年間12万円である。これを継続して資産から賄う場合、必要資産への影響は次のようになる。

月の支出差4%で計算3.5%で計算3%で計算
1万円300万円約343万円400万円
3万円900万円約1,029万円1,200万円
5万円1,500万円約1,714万円2,000万円

家賃や通信費などの固定費を月1万円下げると、3.5%計算では目標資産が約343万円下がる。

反対に、月1万円を趣味のために残すなら、そのための資産を約343万円分確保する、という見方もできる。

単に「節約すれば早くFIREできる」で終わらせず、その支出にどれだけの価値を感じるかを考える材料にしたい。

独自計算②:旅行予算を残すと、目標資産はどのくらい増えるか

私にとって旅行は、FIRE後にも残したい楽しみの一つである。そこで、日常生活費とは別に年間30万円・60万円・90万円の旅行予算を設けた場合を計算した。

以下は実際の渡航費用の見積もりではなく、予算額の比較である。

年間旅行予算月平均3.5%計算で追加される必要資産
30万円2.5万円約857万円
60万円5万円約1,714万円
90万円7.5万円約2,571万円

例えば、生活費月25万円、税金・社会保険の予算年24.5万円、旅行予算年60万円なら、年間支出は384.5万円となる。

384.5万円÷3.5%=約1億986万円

旅行代を年60万円確保することは、この計算では日常生活費を月5万円増やすことと同じである。

ただし、毎年同じ旅行予算を使うとは限らない。相場が悪い年には回数や滞在期間を調整できるなら、固定費とは異なる柔軟性がある。その効果は、この単純計算には含めていない。

独自計算③:資産8,000万円で使える生活費を逆算する

ここまでは生活費から必要資産を計算した。次は、資産8,000万円から使える金額を逆算する。

税金・社会保険の予算として年間24.5万円を差し引くと、日常生活と旅行に使える初年度予算は次のようになる。

初年度取り崩し率年間取り崩し額24.5万円を引いた年間予算月平均
4%320万円295.5万円約24.6万円
3.5%280万円255.5万円約21.3万円
3%240万円215.5万円約18.0万円

3.5%計算でさらに年60万円の旅行予算を取ると、日常生活に使えるのは年間195.5万円、月約16.3万円となる。

資産8,000万円という数字だけを見ると余裕を感じても、何を含む予算かによって暮らしの姿は変わる。賃貸で暮らしながら旅行も続けるなら、家賃を含む日常生活費をこの枠に収められるか、具体的に確認したい。

月5万円の副収入があれば、同じ資産でも選択肢が増える

税金や必要経費、社会保険料の増加分などを差し引いた後に、生活費へ使える収入が月5万円あるケースを考える。

年間60万円分だけ資産の取り崩しを減らせるため、3.5%計算では必要資産が約1,714万円下がる。

月の生活費完全FIRE手取り副収入月5万円あり
20万円約7,557万円約5,843万円
25万円約9,271万円約7,557万円
30万円約1億986万円約9,271万円
35万円約1億2,700万円約1億986万円

※年24.5万円の税金・社会保険予算を含む。別枠の旅行費は含まない。

この表は、収入が継続する場合の単純比較である。数年間だけ働く場合に同じ金額を差し引けるわけではない。また、副業の売上月5万円と、生活費に使える手取り月5万円は異なる。

私自身も趣味も兼ねたブログなどの収入源づくりに取り組んでいるが、将来の収入が確定しているわけではない。まだ得られていない副収入を、退職判断の必須条件として織り込むことには慎重でありたい。

関連記事:FIRE後の収入源はどうする?月5万円の副収入で必要資産はどれだけ減る?

40代でFIREするなら、年金までの期間と退職直後の負担を分ける

老齢年金は原則65歳から受給する。40歳退職なら受給開始まで25年、45歳なら20年、49歳なら16年ある。

本記事の早見表は、その間の資金需要を見やすくするため、年金を反映していない。一方で、65歳以降も年金が一切ないと決めつけると、目標資産を大きく見積もる可能性がある。

退職前には、次の期間に分けた年次計算で確認したい。

  • 退職直後:前年の給与所得などによる税金・保険料の負担を確認する。
  • 年金受給前:生活費を資産と副収入でどこまで賄うかを確認する。
  • 年金受給後:受給見込額から税金・保険料などを考慮し、資産から補う金額を計算する。

年金見込額は加入期間や今後の働き方で異なる。自分の記録を確認して使う必要がある。

参考:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

暴落したとき、何を調整できるかも決めておく

例えば8,000万円の資産が20%下落すると、6,400万円になる。そこで年間280万円を取り崩せば、その時点の残高に対する割合は約4.38%へ上がる。

資産が減っても家賃や生活に欠かせない支出は簡単には下がらない。一方、旅行の回数や大きな買い物は調整できるかもしれない。

FIRE前には、「毎月必ず必要な金額」と「状況に応じて動かせる金額」を分けておきたい。

なお、現金を取り崩し用に確保する場合、その現金も資産8,000万円に含めるのか、別に積み増すのかを統一する必要がある。生活防衛資金を二重に計上しないようにしたい。

私が目指したいのは、旅を続けられるFIREである

私がFIREを目指す理由は、自分の時間の使い方を選べるようになりたいからだ。その時間を使い、タイやベトナムを旅する暮らしも考えている。

そのため、「生活費を最低限にすれば辞められる」という判断だけでは、自分の希望とずれる可能性がある。

今回の計算で特に意識したいのは、月1万円の支出が3.5%計算で約343万円の資産に相当する点である。家賃を見直す価値も、好きなことにお金を残す重みも、同じ物差しで考えられる。

私の場合は、まず普段の生活費を把握し、そのうえで旅行予算を別に置く。副収入がなくても成立するかを確認し、副収入を得られたら選択肢を広げる方向で考えたい。

必要資産は、仕事を辞めるための合格点ではない。自分が続けたい暮らしを支えるための目安である。

FIREの全体像は、40代から始めるFIRE入門ガイド|必要資産・種類・資産形成・FIRE後まで解説にまとめている。

現在の資産から目標までの距離を確認したい場合は、40代・資産3,000万円からFIREできる?50歳までの資産推移をシミュレーションも参考にしてほしい。

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