FIRE後の年金はいくらもらえる?50歳で退職した場合をシミュレーション

50歳FIRE後の年金は?と書かれた海辺のアイキャッチ画像 FIRE

50歳前後でFIREを考えるとき、意外と重要なのが「会社を早く辞めると年金はいくらになるのか」という問題である。

会社員を続ければ厚生年金は増えていく。一方、50歳で会社を辞めれば、それ以降は原則として厚生年金の積み上げがなくなる。

「50歳でFIREすると年金はいくらになるのか」

「65歳から月いくら受け取れるのか」

「55歳・60歳まで働いた場合とは、どのくらい差が出るのか」

今回は、筆者のこれまでの年金加入実績をベースに、50歳・55歳・60歳で退職した場合の年金額をシミュレーションする。

また、長く会社員を続けた場合の参考として、65歳まで働いたケースも掲載する。

結論から言えば、今回の条件では50歳でFIREすると、65歳から受け取る公的年金は年約155.5万円、月約13.0万円と試算できた。

ただし、これは2026年度の年金額を基準にした概算である。実際の年金額は加入記録、給与、退職時期、今後の年金額改定などによって変わる。


【結論早見表】50歳FIREなら65歳から月約13万円

今回のシミュレーション結果は次のとおりである。

退職年齢老齢基礎年金老齢厚生年金合計年額月額換算
50歳約76.3万円約79.2万円約155.5万円約13.0万円
55歳約76.3万円約98.4万円約174.6万円約14.6万円
60歳約76.3万円約117.6万円約193.8万円約16.2万円
65歳(参考)約76.3万円約136.7万円約213.0万円約17.8万円

※2026年度価格ベースの概算
※65歳から通常受給する前提
※今後の年収は約700万円で一定と仮定
※国民年金に一部、年金額へ反映されない期間があるモデル
※50歳・55歳退職後は60歳まで国民年金を全額納付
※65歳退職は参考比較
※税金・社会保険料控除前
※将来の年金額改定は考慮していない

50歳でFIREした場合、65歳から受け取る年金は年約155.5万円、月約13万円となる。

55歳まで働けば月約14.6万円、60歳までなら月約16.2万円まで増える。

参考として65歳まで会社員を続けたケースでは月約17.8万円となり、50歳FIREとの差は月約4.8万円となった。


FIRE後にもらえる年金は「基礎年金+厚生年金」

会社員がFIREした場合、老後にもらえる公的年金は主に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2つである。

老齢基礎年金

老齢基礎年金は国民年金から支給される年金である。

20歳から60歳までの40年間の納付状況などによって年金額が決まり、2026年度の満額は年847,300円である。

会社員として厚生年金に加入している期間も、老齢基礎年金を計算するうえで保険料納付済期間に含まれる。

そのため、「会社員だから基礎年金を払っていない」というわけではない。

老齢厚生年金

会社員などが厚生年金に加入していた場合、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取れる。

老齢厚生年金の金額は、主に厚生年金へ加入していた期間と、その間の報酬によって決まる。

したがって、一般的には会社員として長く働くほど、将来受け取る厚生年金も増えていく。

50歳FIREで重要なのは、会社を辞めた時点で厚生年金の積み上げが原則として止まることである。


今回の年金シミュレーションの前提

今回は筆者自身の年金加入実績などをベースにしながら、給与については個人の実額ではなく、年収約700万円の会社員をモデルとしてシミュレーションする。

条件は次のとおりである。

  • 50歳FIREを基本ケースとする
  • 今後の年収:約700万円
  • 国民年金に一部、年金額へ反映されない期間がある
  • 50歳または55歳で退職した場合、60歳まで国民年金を全額納付
  • 65歳から通常受給
  • 2026年度価格で計算
  • 将来の物価・賃金による年金額改定は考慮しない

年収700万円としたのは、会社員の一つのモデルとして分かりやすくするためである。

帝国データバンクの「上場企業の『平均年間給与』動向調査(2025年度決算)」によると、上場約3,700社の平均年間給与は692.6万円だった。そのため、本記事では分かりやすく約700万円として計算する。

なお、同調査の中央値は661.6万円であり、年収700万円がすべての会社員の平均という意味ではない。

また、筆者には国民年金のうち年金額へ反映されない期間が一部あるため、老齢基礎年金については満額ではなく年約76.3万円として計算する。

55歳・60歳退職は50歳FIREとの比較用、65歳退職はさらに長く会社員を続けた場合の参考値である。

あくまで一つのモデルケースであり、実際の年金額は個人によって異なる。


国民年金に納付猶予などの期間があると基礎年金が少なくなることがある

老齢基礎年金は、必ず全員が満額を受け取れるわけではない。

2026年度の老齢基礎年金満額は年847,300円だが、保険料の納付状況などによって実際の受給額は変わる。

たとえば学生納付特例などの期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には算入される一方、追納していなければ年金額には反映されない。

筆者にも年金額へ反映されない期間が一部あるため、今回のシミュレーションでは老齢基礎年金を年約76.3万円としている。

重要なのは、

「年金の加入期間」=「すべて満額に反映される期間」ではない

ということである。

FIREを考える場合は、「自分は基礎年金を満額もらえるだろう」と決めつけず、実際の加入記録を確認しておきたい。

本記事の試算は、50歳・55歳で退職した後も60歳まで国民年金を全額納付する前提である。退職後の保険料や免除・追納の考え方は、FIRE後も国民年金は払うべき?免除・追納も含めて考えるで解説している。免除を利用する場合は、将来の年金見込額も合わせて見直してほしい。


50歳でFIREすると厚生年金はいくらになる?

今回のシミュレーションでは、筆者のこれまでの加入実績などをもとに、50歳まで会社員を続けた場合の老齢厚生年金を年約79.2万円と試算した。

なお、給与については筆者個人の実額ではなく、前述した上場企業の平均年間給与を参考に、今後の年収を約700万円と仮定している。

この条件では、

老齢基礎年金:約76.3万円

老齢厚生年金:約79.2万円

となる。

合計すると、

76.3万円+79.2万円=約155.5万円/年

である。

月額換算では、

約13.0万円

となる。

したがって今回のモデルでは、

50歳でFIRE → 65歳から年約155.5万円(月約13万円)

が一つの目安となる。

ただし、実際の厚生年金額は標準報酬月額、標準賞与額、加入期間などによって決まるため、同じ年収700万円でも必ず同じ年金額になるわけではない。


55歳・60歳まで働いた場合はどうなる?

50歳でFIREせず会社員を続ければ、その期間だけ厚生年金も積み上がる。

今回と同じ条件で比較すると、次の結果となった。

50歳でFIRE

  • 基礎年金:約76.3万円
  • 厚生年金:約79.2万円
  • 合計:約155.5万円
  • 月額:約13.0万円

55歳で退職

  • 基礎年金:約76.3万円
  • 厚生年金:約98.4万円
  • 合計:約174.6万円
  • 月額:約14.6万円

60歳で退職

  • 基礎年金:約76.3万円
  • 厚生年金:約117.6万円
  • 合計:約193.8万円
  • 月額:約16.2万円

今回のモデルでは、会社員を5年間続けるごとに、将来の厚生年金が年約19.2万円、月約1.6万円増える計算となった。

参考:65歳まで会社員を続けた場合

さらに長く働いた場合の参考として、65歳まで会社員を続けるケースも計算した。

  • 基礎年金:約76.3万円
  • 厚生年金:約136.7万円
  • 合計:約213.0万円
  • 月額:約17.8万円

50歳FIREとの差は、年約57.6万円、月約4.8万円となる。

ただし、これは50歳FIREと比べて約15年間長く会社員として働いた場合の参考比較である。

本記事の基本ケースはあくまで50歳FIREである。


50歳FIREでは50~64歳の15年間が重要

50歳FIREで特に注意したいのは、50歳から年金を受け取れるわけではないことである。

公的年金は原則65歳から受給する。

そのため、

50歳:FIRE

↓

50~64歳:原則として公的年金なし

↓

65歳:老齢基礎年金+老齢厚生年金の受給開始

という流れになる。

今回の条件では、65歳以降は年約155.5万円の年金を見込める。

つまり、50歳FIREでは年金受給までの15年間をどのように乗り切るかが重要になる。

FIRE後に必要となる生活費は、普段の支出だけではない。税金や国民健康保険、国民年金なども考慮する必要がある。

→ 関連記事:FIRE後の生活費はいくら必要?税金・社会保険まで含めて計算


65歳以降は資産の取り崩し額が大きく減る

たとえば生活費を月30万円、年間360万円とする。

50~64歳は年金がないため、基本的には年間360万円を自分で用意する必要がある。

一方、65歳から年155.5万円の年金を受け取るとすると、

360万円-155.5万円=約204.5万円

となる。

単純化すると、資産から用意する必要がある生活費は、

月30万円 → 月約17万円

まで減る。

実際には税金、健康保険、介護保険などもあるため、年金155.5万円がそのまま手取りになるわけではない。

それでも、65歳から公的年金が入ることはFIRE後の資産寿命に大きな影響を与える。

資産をどのように取り崩すかについては、定額・定率・4%ルールなど複数の方法がある。

→ 関連記事:FIRE後の資産はどう取り崩す?4%ルール・定額・定率を比較


生活費の何%を年金で賄える?

50歳FIRE後の年金を年155.5万円として、生活費別にどの程度を年金で賄えるか計算してみる。

月の生活費年間生活費年金で賄える割合年金との差額
20万円240万円約65%約84.5万円
25万円300万円約52%約144.5万円
30万円360万円約43%約204.5万円
35万円420万円約37%約264.5万円

月25万円で生活するなら、65歳以降は生活費の約半分を年金で賄える計算になる。

月30万円の場合でも約43%である。

したがって50歳FIREでは、50歳時点の資産だけを見るのではなく、65歳から年金収入が入ることまで含めて資産寿命を考えることが重要である。


50歳FIREの必要資産は「65歳まで」と「65歳以降」を分けて考える

FIREでは「年間支出×25倍」という4%ルールがよく知られている。

しかし、50歳FIREの場合、一生同じ金額を資産から取り崩すわけではない。

今回のモデルなら、

50~64歳:年金なし

65歳以降:年約155.5万円の年金あり

となる。

つまり、50歳から65歳までの15年間を乗り越えれば、その後は公的年金によって資産からの取り崩し額を減らせる。

ただし、FIRE直後に大きな暴落が発生すると、年金受給前に資産を大きく減らしてしまう可能性がある。

→ 関連記事:FIRE直後に暴落したらどうなる?50歳FIREをシミュレーション

年金を含めて50歳から90歳まで資産がどのように推移するのかを確認したい場合は、資産額別の長期シミュレーションも参考になる。

→ 関連記事:50歳FIRE後、資産はいくら残る?6,000万・7,000万・8,000万・9,000万円でシミュレーション


年金は繰上げ・繰下げも選択できる

今回は65歳から通常受給するケースで計算した。

公的年金は原則65歳からだが、60歳から65歳までの間に繰上げて受給することもできる。

一方、一定の条件では66歳以降75歳まで繰り下げて受給することも可能である。

繰上げれば年金額は減り、繰り下げれば年金額は増える。

FIREでは、

「資産の取り崩しを減らすため早めに年金を受け取る」

「資産に余裕があるので年金を繰り下げる」

といった選択肢も考えられる。

ただし、どちらが適しているかは寿命だけでなく、資産額、生活費、運用利回り、税金などによっても変わる。


自分の年金額は「ねんきんネット」で確認する

今回の年金額は、筆者の加入実績などをもとにしたモデルケースである。

実際にFIREを検討するときは、自分自身の年金記録を確認することが重要である。

日本年金機構の「ねんきんネット」では、これまでの年金記録を確認したり、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を変更して年金見込額を試算したりできる。

特に、

  • 国民年金の納付状況
  • 免除・猶予などの期間
  • 厚生年金の加入期間
  • 標準報酬
  • 何歳まで会社員を続けるか

などによって年金額は変わる。

FIREを考えている人ほど、平均的な年金額ではなく自分自身の年金見込額を確認しておきたい。

また、一度確認して終わりではなく、定期的に再確認することも大事であると考えている。


まとめ|50歳FIREでも65歳から月約13万円の年金を見込める

今回は筆者の年金加入実績などをベースに、給与については上場企業平均を参考に年収約700万円として、50歳FIRE後の年金をシミュレーションした。

結果は、

50歳退職:年約155.5万円(月約13.0万円)

55歳退職:年約174.6万円(月約14.6万円)

60歳退職:年約193.8万円(月約16.2万円)

となった。

参考として65歳まで会社員を続けた場合は、年約213万円(月約17.8万円)となる。

早く会社を辞めれば、その分だけ厚生年金は少なくなる。

一方、50歳でFIREしたからといって、公的年金がほとんどなくなるわけではない。

今回のモデルでは65歳から月約13万円を見込めるため、65歳以降は資産からの取り崩し額を大きく減らせる。

そのため50歳FIREでは、

50~64歳:年金なしで資産を取り崩す期間

65歳以降:年金+資産取り崩しで生活する期間

という2段階に分けて考えることが重要である。

「50歳時点でいくら資産があるか」だけではなく、「65歳までの15年間をどう乗り切るか」「65歳以降は年金によって取り崩し額がどこまで減るか」まで考えることで、より現実的なFIRE計画を立てられるだろう。

FIREの必要資産や種類、資産形成からFIRE後の生活まで全体像を確認したい方は、以下の入門ガイドも参考にしてほしい。

→ 40代から始めるFIRE入門ガイド|必要資産・種類・資産形成・FIRE後まで解説

コメント

タイトルとURLをコピーしました