50歳になったとき、今と同じように会社員を続けているだろうか。
それとも、仕事を少し減らしているだろうか。好きな時期に海外へ出かけ、帰国日を気にせず、もう少し旅を続ける暮らしを選んでいるかもしれない。
私は40代の会社員として働きながら、50歳前後でのFIREを目指している。
投資歴は20年以上になる。ただ、資産形成を続けてきたからといって、「この金額になったら安心して会社を辞められる」と簡単に答えが出るわけではない。
給与がなくなった後の生活費をどう払うか。退職後の税金や健康保険料はいくらになるか。旅行を楽しむ余裕を残しながら、相場の下落にも備えられるか。
資産額を見るだけでは分からないことが、いくつもある。
私にとってFIREの準備は、将来の暮らしを、会社からの給与がない状態でも続けられるか確かめる作業である。
このページでは、FIRE Voyageで検討してきた内容を、FIREの基本、必要資産、資産形成、退職準備、FIRE後のお金の順に整理した。
最初からすべてを決める必要はない。まずは、自分が今いちばん気になるところから読んでみてほしい。
1.FIREとは何かを知る
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立と早期退職を意味する。
言葉の意味は短く説明できるが、どんな暮らしを目指すかは人によって違う。
仕事を完全に辞めたい人もいれば、勤務時間を減らしたい人もいる。収入を気にせず、やってみたかった仕事を選びたい人もいるだろう。
私が目指しているのは、会社員を続けるかどうかを、自分で判断できる状態である。
給与が生活を支えている間は、働き方を変えたいと思っても、毎月の支払いが気になる。資産形成は、その判断に使える選択肢を少しずつ増やすための準備だと考えている。
だから、FIREを考えるときは、必要資産の計算と一緒に「自由になった時間を何に使いたいか」も考えておきたい。
私の場合は、海外旅行もその一つである。資産を増やした先に楽しみたい暮らしがあるから、今の積立や支出の見直しにも意味を持たせられる。
40代の会社員としてFIREを目指す理由は、こちらの記事にまとめている。
→ 40代会社員がFIREを目指す理由|FIREは普通の会社員でも可能!
「会社を辞めたい」の先に、どんな一日を過ごしたいのか。そこまで思い浮かべると、自分のFIREの形を考えやすくなる。
2.自分に合ったFIREの種類を選ぶ
FIRE後に、仕事をどのくらい残したいだろうか。
この問いから考えると、FIREの種類を自分の生活に当てはめやすい。
資産からの取り崩しなどで生活費を賄う完全FIREなら、働く時間を大きく減らせる。その分、給与に頼らず生活を続けるための資産が必要になる。
サイドFIREは、資産と仕事からの収入を組み合わせる方法である。少し働くことを暮らしに組み込めれば、資産から支払う生活費を減らせる。
また、会社員を続けながら資産を築き、会社への経済的な依存度を下げる「窓際FIRE」という考え方もある。
ただし、資産が増えても、勤務時間や担当業務を希望どおりに変えられるとは限らない。会社に残るなら、実際にどんな働き方ができるかも考える必要がある。
私自身、50歳前後を目標にしているが、その年齢になったときの資産や生活、仕事への気持ちも踏まえて判断したい。
今の段階で、一つの形に決めきる必要はないと思っている。
それぞれの特徴はこちらで比較している。
→ サイドFIRE・窓際FIREとは?必要資産・メリットをわかりやすく解説
自分が無理なく続けられそうな働き方を考えることも、FIRE計画の一部になる。
3.FIREに必要な資産を計算する
FIREを考えると、やはり「いくら必要なのか」が気になる。
その目安としてよく使われるのが、4%ルールをもとにした次の計算である。
年間支出 × 25 = 必要資産の大まかな目安
例えば、月25万円、年間300万円を資産から賄うなら、
300万円 × 25 = 7,500万円
となる。
ただ、この計算で難しいのは、掛け算よりも「年間支出に何を含めるか」である。
家賃、食費、光熱費だけなら把握しやすい。一方で、家電の買い替えや旅行など、毎月は発生しない支出もある。
私の場合、海外旅行を楽しむための予算も考えたい。普段の暮らしが成り立っても、楽しみにしていた旅行を毎回諦める計画では、自分が目指していた生活から離れてしまう。
そのため、生活を維持するお金と、楽しみに使うお金を分けて見積もると考えやすい。
また、4%ルールは将来の安全を保証するものではない。40代・50代からのFIREでは、長い取り崩し期間や、税金・社会保険料も含めて検討する必要がある。
生活費別の必要資産はこちらで比較している。
→ 40代でFIREするにはいくら必要?生活費20万・25万・30万・35万円でシミュレーション
最初に出す金額は仮の数字でよい。まずは、今の生活と、FIRE後に続けたいことを書き出すところから始めたい。
4.FIRE後の税金・社会保険まで含めて考える
会社員の家計を考えるとき、私はまず手取り額を意識する。
しかし退職後は、給与から差し引かれていた税金や社会保険料について、自分で支払い方や必要額を確認する場面が増える。
月25万円で暮らせるとしても、その金額に何が含まれているかによって、必要な予算は変わる。
住民税、健康保険料、国民年金保険料などを別に支払うなら、その分も用意しなければならない。反対に、すでに生活費へ含めているものを、重ねて加算しないようにしたい。
特に退職直後は、給与がなくなっても、前年の所得に基づく負担が残ることがある。
私が退職準備で確認したいのは、年間の合計額に加えて、いつ、いくら支払うのかである。支払いの時期が分かれば、手元に残す現金も考えやすくなる。
税金・社会保険を含めた支出は、こちらで整理している。
→ FIRE後の生活費はいくら必要?税金・社会保険まで含めて計算
健康保険については、国民健康保険と任意継続を比較しておきたい。保険料は加入先や所得などによって変わるため、自分の条件で確認する必要がある。
以下の記事では、50歳・独身・年収700万円をモデルに、退職後3年間を比較している。
→ FIRE後の健康保険はどうする?国保・任意継続の保険料を3年間比較
住民税の計算例と納付時期はこちらにまとめた。
退職後の支払いを具体的に並べることで、「生活費は足りるはず」という見込みを、実際に支払える計画へ近づけられる。
5.副収入でFIREの必要資産を減らす
必要資産を計算して、目標まで遠いと感じることもあるだろう。
そのときに考えたいのが、退職後の収入である。
例えば、年間支出が300万円で、手取りの収入を年間60万円得られるなら、資産から賄う金額は単純計算で年間240万円になる。
月5万円でも、暮らしの一部を支える収入になる。
ただし、FIRE計画に入れる収入と、「これから得られたらよい」と思っている収入は分けておきたい。
まだ実績のない副収入を最初から当てにすると、想定どおりに稼げなかったとき、取り崩し額が増えてしまう。
私なら、まず副収入がない場合の計画を確認し、そのうえで収入がある場合にどのくらい余裕が生まれるかを比較したい。
副収入別の必要資産はこちらで検討している。
→ FIRE後の収入源はどうする?副収入0円・3万円・5万円・10万円で必要資産を比較
収入額だけでなく、その仕事にどのくらいの時間を使うのかも大切である。FIRE後に楽しみたい暮らしと両立できるかまで考えたい。
6.FIREに向けて資産形成をする
私は株式・債券・ビットコインを組み合わせて資産運用を続けている。
株式で長期的な成長を期待し、債券を値動きの異なる資産として組み合わせ、ビットコインは少額を保有するという考え方である。ただし、債券にも価格変動があり、組み合わせれば損失を避けられるわけではない。
投資歴が20年以上あっても、これからの相場を読めるわけではない。
だから、自分の計画を考えるときは、期待するリターンと一緒に「値下がりしたときにどうするか」を考える。
資産が増える時期だけを想定して配分を決めると、下落したときに続けられなくなるかもしれない。
私が目指したいのは、FIREまで積立を続け、退職が近づいたら生活費の準備にも移れる資産配分である。
現在の配分と保有理由はこちらで紹介している。
→ 私の資産運用ポートフォリオを公開|株式・債券・ビットコインの資産配分
ビットコインを積み立てる理由と、リスクについての考え方はこちらにまとめた。
→ ビットコイン積立を続ける理由|メリット・デメリットと私の投資方針
この配分を、そのまま誰にでも勧めたいわけではない。生活費、給与の安定性、退職までの年数によって、持ち続けられる配分は変わると考えている。
7.何歳でFIREできるのかをシミュレーションする
私は50歳前後を一つの目標にしている。
目標年齢があると、毎年の積立や支出を考えやすい。ただ、その年齢までに必ず退職すると決めてしまうと、資産や相場の状況によっては無理が生じる。
そのため、シミュレーションは退職日を確定させるためではなく、今の準備を続けると、どんな選択肢が見えてくるかを知るために使いたい。
将来の資産は、現在の資産、今後の積立、運用結果によって変わる。
例えば40代で資産3,000万円があっても、その後の積立額や生活費によって、50歳時点の見通しは異なる。
資産3,000万円からの推移はこちらで試算している。
→ 40代・資産3,000万円からFIREできる?50歳までの資産推移をシミュレーション
さらに、50歳時点の資産が6,000万円・7,000万円・8,000万円・9,000万円の場合について、90歳までの推移も比較した。
→ 50歳でFIREするにはいくら必要?65歳の年金受給までシミュレーション
試算を見るときは、想定どおりに進む場合だけでなく、運用が振るわない場合や支出が増える場合も確認したい。
その結果、退職を少し延ばす、積立額を調整する、仕事を一部残すといった判断ができる。
40代からの準備はこちらにまとめている。
→ 50歳でFIREするために40代でやるべきこと|10年前からの準備ロードマップ
目標年齢は、準備を進めるための目印として使いたい。実際に退職するかは、その時点の暮らしと数字を見て判断するつもりである。
8.FIRE後の年金を確認する
50歳前後でのFIREを考えると、退職してから年金を受け取るまでの期間が気になる。
一方で、その期間を心配するあまり、65歳以降もすべて金融資産だけで暮らす計画にすると、必要資産を大きく見積もることになる。
そこで、65歳から公的年金を受け取る想定なら、生活を二つの期間に分けると整理しやすい。
- 年金受給前: 金融資産や仕事からの収入で生活費を賄う
- 年金受給後: 年金で足りない分を金融資産などで補う
ただし、将来の年金額は人によって違う。早く会社員を辞めれば、その後も厚生年金への加入を続ける場合と比べて、受給額に差が生じる。
私も、自分の加入記録を踏まえて、退職時期による違いを確認しておきたい。
退職年齢別の試算はこちらで紹介している。
→ FIRE後の年金はいくら?50歳で退職した場合の受給額をシミュレーション
あと数年働くかを考えるときは、その間に増える資産と年金、そして自由に使える時間を並べて判断したい。
9.FIRE後の資産の取り崩し方を決める
資産形成中は、毎月いくら積み立てるかを考える。
FIRE後には、その方向が変わる。今度は、自分の資産から生活費を受け取る仕組みが必要になる。
代表的な方法には、毎年一定額を取り崩す方法や、資産残高の一定割合を取り崩す方法などがある。4%ルールを参考にする方法もあるが、「毎年その時点の残高の4%を使う方法」とは仕組みが異なる。
一定額なら生活の予算を立てやすい。一方、残高に対する一定割合なら、相場によって使える金額が変わる。
私が考えておきたいのは、取り崩す割合に加えて、相場が悪い年に、暮らしのどこを調整できるかである。
家賃や基本的な生活費は、すぐには減らしにくい。旅行など時期や予算を変えられる支出を分けておけば、調整の余地が見えやすくなる。
取り崩し方法はこちらで比較している。
→ FIRE後の資産はどう取り崩す?4%ルール・定額・定率を比較
さらに、NISAと課税口座のどちらから売却するかも検討が必要になる。
税金だけでなく、売却後にどんな資産を残すかも含めて考えたい。
→ FIRE後はNISAと課税口座のどちらから取り崩す?出口戦略を考える
資産額を確認するときに、「この中から来年の生活費をどう用意するか」まで想像してみる。それも退職前の準備になる。
10.FIRE直後の暴落に備える
会社員として給与を受け取っている間と、資産から生活費を出すようになった後では、同じ値下がりでも家計への影響が違う。
給与で生活できる間は、資産を売らずに待てる場合がある。
しかし退職後は、相場が回復するまで生活費の支払いを止めるわけにはいかない。
特にFIRE直後に大きく値下がりし、その状態で売却を続けると、その後の資産寿命に影響する。運用成績が現れる順番によって結果が変わる「シーケンス・オブ・リターン・リスク」である。
私が確認したいのは、暴落を予測できるかではなく、退職した翌年に下落しても、生活費をどう用意できるかである。
現金を使うのか、支出を調整するのか、仕事からの収入を得るのか。事前に選択肢を考えておけば、下落したときの判断材料になる。
対策別の試算はこちらにまとめている。
→ FIRE直後に暴落したらどうなる?50歳FIREをシミュレーション
退職を判断する前に、好調な相場で増えた資産額と、下落後にも続けられる生活の両方を確認したい。
11.FIRE後の資産配分を考える
今の自分に合う資産配分が、退職後にもそのまま合うとは限らない。
資産形成中は、給与から生活費と積立資金を用意できる。FIRE後は、保有資産に生活費を支える役割も加わる。
株式を多くすれば長期的な成長を期待できる一方、値下がりの影響も大きく受ける。値動きを抑えようとして株式を減らすと、長い退職生活で必要な成長力との兼ね合いが生まれる。
私の場合も、退職が近づいたら、現在の配分を続ける理由を改めて確認したい。
「これまでこの配分だったから」という理由だけで続けず、生活費を取り崩す状態に合っているかを考える必要がある。
株式比率などを変えた場合の試算はこちらで比較している。
→ FIRE後の資産配分はどうする?株式・債券・現金の割合をシミュレーション
比較するときは、最終的な資産残高に加えて、途中でどのくらい減るのか、その状態で生活を続けられるかにも目を向けたい。
12.FIRE前に現金をどのくらい持つか決める
現金を持っていれば、相場が下落したときに、値下がりした資産をすぐ売らずに生活費を支払える。
その一方で、現金を多く残すほど、運用に回す資金は少なくなる。
そこで私は、現金の総額と一緒に、使い道を整理して考えたい。
- 日々の生活費として使うお金
- 退職後の税金や保険料など、支払いが見えているお金
- 急な出費や相場の下落に備えるお金
それぞれを別枠で考える場合は、同じお金を二重に数えないようにする必要がある。
例えば、手元に現金があっても、その大部分を退職後の税金などに使う予定なら、すべてを暴落対策として数えることはできない。
現金0.5年分・1年分・2年分・3年分の比較はこちらで検討している。
→ FIRE前に現金はいくら必要?生活防衛資金と暴落対策を考える
退職前には、「資産がいくらあるか」と「当面の支払いに使えるお金がいくらあるか」を、分けて確認しておきたい。
まとめ|50歳の自分が選べるように、今から準備する
私にとって50歳前後のFIREは、これからの働き方と暮らしを考えるための目標である。
その年齢で完全に仕事を辞めるか、少し働くか、会社員を続けるか。今の段階ですべてを決める必要はないと思っている。
ただ、選びたいときに選べるように、準備は進めておきたい。
最初から12項目すべてに答えを出そうとすると、考えることの多さに疲れてしまうかもしれない。まずは、次の三つを整理するところからでよい。
- FIRE後に、どんな一日を過ごしたいか
- その暮らしに、年間いくら必要か
- 今の資産と積立で、どこまで近づけそうか
必要資産の大まかな目安を知りたい場合は、こちらの記事から確認できる。
→ 40代でFIREするにはいくら必要?生活費20万・25万・30万・35万円でシミュレーション
その後で、税金・社会保険、年金、取り崩し方、暴落への備えを順番に加えていけば、計画は少しずつ具体的になる。
私はこれからも会社員として資産形成を続けながら、50歳前後の選択肢を考えていく。
好きな時期に旅をすることも、仕事との距離を変えることも、そのときの自分が選べるようにしたい。
FIRE Voyageでは、そのために調べたことや試算したことを、これからも記録していく。


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